サバールのコンサートプログラム中に、突然飛び出し踊る。
MC) なんだなんだ、こいつは?
おいおい、まてまて、ちょっとこっちに来なさい。
君、どこから来たんだい?
ウリ) 日本からです。
MC) どこで、このダンスを勉強したんだ?
ウリ) セネガルです。
MC) 誰に教えてもらったんだ??
ウリ) Pape Moussa Sonko (パムサ ソンコ)です。
MC) 君、名前はなんていうんだ?
ウリ) ウリマタ ソンコです。
えーーー!!
会場の、みんな大喜び。
ソンコという名字は、このカザマンスあたりに住むソーセ族の名字だから。
MC) ソンコって事は、君はソーセ族か!!お父さんの名前はなんだ??
ウリ) ブリー ソンコ (パムサのお父さんの名前)です。
会場に一斉に歓声があがる。
ブリーソンコは、この地域から世界に羽ばたいた有名人だから。
MC) こりゃ、まいったなー!!
わはははは。
わはははは。
会場、笑いに包まれる。
ああ、平和。
…という鉄板ネタがありました。
2009年のことです。
この一連の流れのMCを、何度も練習したほどです。
まだウォロフ語がよく話せなかった私は会話を丸暗記するしかなく、
踊る事よりも、話す事の方が緊張した。
このMC、決して間違えては、ならない、とてもとても重要なネタなのだ。
そして今年。
今回のカザマンスヴォヤージュで、この鉄板ネタ、再び復活することに!!!!
ブリーソンコが企画する今回のステージだからこそ、必要なこのMC!!!
むしろ私はコレをやる為に、カザマンスに連れて来てもらったといっても過言ではない!!!
21時から始まると書いてあったプログラムは、23時過ぎから始まり。
様々なグループによる、ダンス、演奏、歌、が行われた。
カザマンスのナマハゲとでも言えば良いのか、カンクランという、とても怖い精霊も突如出現!!
前日の全体リハーサルでは、いなかったのに!
さすが!!
ステージ裏では、色んな民族のダンサー達と、おしゃべり。
伝統的なジョラ族やカサ族の衣装、太鼓、など見れて、とてもおもしろい。
それにしても、本当にたくさんの種類の、太鼓!ダンス!そして、その背景!!
もう覚えきれない。
今までの知識を覆されるような事もたくさん。
いかに間違った情報が蔓延しているのか。
その間違った情報が、さらに他の人に伝わり、さらにその人が他の人に伝え。
こうして伝統的なものが、歪められ、形を変えて伝わっていく。
伝統や文化、カルチャーを学ぶ為には、現地で生きたモノに触れて、しっかり確かめたいな。
しかし、そもそも伝統も少しずつ変化していくのも事実。
地域、時代によって、変化していく。
じゃあ、なにが本物なの?!?!
ぐーーーーー。
前回カザマンスに行った時より、ウォロフ語が上達したおかげで、先生の言ってる事が理解でき、より深く話し合う事ができるようになった。
先生のダンスに対する考え。
ソウルバに対する考え。
世界におけるソウルバダンスについて。
言葉って大事だな。
ひょうたんで、できているレケット。踊る時に頭にかぶったり、拍子を取るのに使います。
カワイイ!!
わたしもかぶってみた。
あれ?!
さて、プログラムはつぎつぎと進み、遂にWAATO SHITA(グループワトシタ)のプログラムに!
友達のWAATO SHITA ダンサー、ミチュ
この衣装とっても似合ってて超カワイイーーー!!!
イェラというトゥクロール族の結婚式のダンス。
そして、ついに私が踊るサバール
のプログラムに!
ユニゾン、ソロ、を組み合わせたコレオグラフ。
後半にわたしのソロ。
このソロの途中でリズムを止め、カザマンスのダンス、ソウルバのリズム、『レンジェン』というダンスを踊るという、わたしのソロ。
四年ぶりにカザマンスのステージに立てたーー!!
そりゃ、張り切ります。
ステージを降り、駆け回り。
完全に調子に乗りまくり中!!
気づけば、パムサが後ろでマイクで盛り上げてくれている。
と、突然パムサがリズムを止めた!!
「バサバサ」
パムサ) おいおい、こっちに来なさい!君、なんて名前だ?
ウリ) …ウリマタ…ソンコ…です。
息切れ真っ最中!!!!!
頭がまわらない!!!!!
パムサ) 誰にダンス習ったの?
ウリ) パ…ムサ…ソンコ…です。
パムサ) 君のお父さんは、なんて名前?
ウリ) …パム…サ…ソンコ…で…す。
しまったーーーーー!!!
やーべー、そこ1番間違えちゃダメでしょーー!!
パムサ) ………えーと、誰がカザマンスに連れてきてくれたの?
ウリ) ブリー…ソンコ…です。
調子に乗り過ぎたせいで、痛恨のミス…。
調子に乗っちゃダメだよね。
ほんっと。
その後、仲間たちに、何度もこの時の私をモノマネされたのでした。
今でも、たまにこの事を掘り返されてます。
そして、翌日土曜日はタンヌベール(夜中の野外サバールパーティ)が行われ、
さらに翌日日曜日、帰宅の途についたのだった。
もちろん、帰りも15時間サウナの様なバスにて…。
15時間中、トイレに行ったのは一回だけ!!
水を飲んでも飲んでも、全て汗で出ていってしまう。
…こうして、重大なミスを犯しつつも、四年ぶりのカザマンスを堪能し、友達、先生と再会し、踊って、楽しいヴォヤージュは幕を下ろしたのでした。
おしまい。
Oulimata